あらゆるシステムは、システムとシステムの間で様々なデータをやり取りし合っています。
やり取りされるデータ例でいえば、
- バッチ処理によるファイル連携
- オンライン処理のおける電文連携
- APIによるデータ連携
などがあります。
今回は、システム間のファイル連携に欠かせないソフトウェアの一つである「HULFT」について、どういうものなのかわかりやすく説明します。
ファイル転送とは何か
HULFTとは何か(FTPとの違い)
HULFTの集配信機能について
ファイル転送とは
システム間のファイル転送で分かりやすい例と言えば、クレジットカード会社から銀行への引き落としデータの転送です。
簡単に、ファイル転送による引き落としの流れを説明します。
毎月、カード会社はカード利用者の利用金額を取りまとめて、銀行へ引き落としデータとしてファイル転送します。ファイルを受け取った銀行のシステムは、そのデータをもとに利用者の口座から利用金額を引き落とします。
このように、ファイル転送とはある程度まとまったデータの集合を、日次や月次などで対向システムに転送することを言います。
システム間のファイル転送に用いられるプロトコルと言えば、ftpやsftp、ftps、scpなどがあります。しかし、これらを実際の業務システムのデータ連携で用いると色々と欠点があります。
そこで、今回説明するHULFTのようなソフトウェアが重宝されているわけです。
HULFTとは
HULFT(Harmonious Universal Link File Transfer)とは、株式会社セゾン情報システムズが開発した、日本で最も利用されているファイル転送ソフトウェアです。
セゾン情報システムズによると、
- 全国銀行協会会員銀行 導入率100%
- 日本自動車工業会会員企業 導入率100%
- 導入実績8,400社(2016年3月末時点)
と、日本の大企業でもかなりの導入実績があることがわかります。私たちに身近な銀行や決済系のシステムでも、私たちの知らないところでHULFTが多用されています。
前述で、ファイル転送プロトコルにはftpなどがあるとあげましたが、ftpなどとHULFTの大きな違いは、HULFTの機能の多さです。
ftpでは、ファイルを単純に転送するだけに対し、HULFTでは、
- ファイル転送前後のジョブ実行
- データ圧縮・解凍
- データ暗号化
- 文字コード変換
などなど、ファイル転送に限らず、それに関わる様々な機能を提供してくれるのがHULFTの大きな特徴です。
HULFTの概要
それではここからは、HULFTの具体的な中身について簡単に触れたいと思います。
HULFTの3つの常駐プロセス
HULFTには、以下の3つの常駐プロセス(デーモン)が起動しています。
- [hulobsd]・・・通信相手からの要求を受け付けるデーモン。
- [hulsndd]・・・送信側のデーモン。配信を行う。
- [hulrcvd]・・・受信側のデーモン。集信を行う。
HULFTの「配信」「集信」とは
HULFTでは、ファイルを送ることを「配信」、ファイルを受け取ることを「集信」といいます。
HULFTのファイル配信コマンドをutlsendといいます。utlsendは、hulsnddに対して配信要求を行い、要求を受けたhulsnddは対向集信ホストで常駐しているhulrcvdにファイルを配信します。
アプリケーションからutlsendで配信する様子は、以下のようになります。
逆に、集信側ホストでutlrecvコマンドを利用してファイル配信要求を行うこともできます。utlrecvで対向配信ホストへ配信要求をすると、要求を受けた対向配信ホストで常駐しているhulseddが集信ホストへファイルを配信します。
上記同様に、アプリケーションからutlrecvで集信する様子は、以下のようになります。
まとめ
今回は、ファイル転送ソフトウェアのHULFTとは何かについて説明してきました。
FTPなどのプロトコルのように、単なるファイル転送機能ではなく、ファイル転送に関わるあらゆる機能を一つのプロダクトにまとめたソフトウェアである、ということをお分かりいただけたかと思います。
これからも、HULFTに関する情報をどんどん載せていきますの、ぜひご参考にしていただければと思います!