固定資産に関する仕訳が分かる!
重要用語
減価償却・・・固定資産を使ったことによる価値の減少を、費用として計上すること。
定額法・・・減価償却の方法の一つ。毎年同額だけ、価値が減少する方法。
耐用年数・・・固定資産を利用する年数。
残存価額・・・固定資産を耐用年数利用後、残っている価値。
【資産】
減価償却累計額・・・減価償却による固定資産(資産)の減少を表す。
【費用】
減価償却費・・・減価償却によって費用として計上されるお金。
固定資産売却損・・・固定資産売却による費用。
【収益】
固定資産売却益・・・固定資産売却による収益。
固定資産購入の仕訳
企業が購入するもののうち、土地や建物、車両などを固定資産と呼びます。仕訳をする際は、固定資産を購入するのにかかった金額(取得原価)で記入します。また、購入にかかった手数料など(付随費用)も取得原価に含めます。
(例)「固定資産を購入した際の仕訳」
A㈱は、建物1800円を購入し、代金は月末に支払うことにした。なお、購入にあたっての登記料140円と仲介手数料60円は現金で払った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
建物 | 2000 | 未払金 | 1800 |
現金 | 200 |
減価償却費の仕訳
まず、減価償却費は以下の式で算出します。
減価償却費 =(取得原価 - 残存価額)÷ 耐用年数
減価償却費の処理は決算日に行うのですが、減価償却費の計上方法は、固定資産を購入したのが期首か、期中かで異なります。
期首に購入した場合
期首に購入した場合は、1年分の減価償却費(費用)を計上します。このとき貸方には、資産のマイナスを意味する減価償却累計額という勘定科目で仕訳します。
(例)「減価償却費の仕訳(期首購入の固定資産)」
令和3年3月31日、A㈱は令和2年4月1日に取得原価2000円で購入した建物について減価償却を行った。なお、減価償却方法は定額法(耐用年数は30年、残存価額は取得原価の10%)による。A㈱の会計期間は、4月1日~3月31日である。
【計算】
減価償却費 =(2000⦅取得原価⦆ー200⦅残存価額⦆)÷30⦅耐用年数⦆=60
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 60 | 減価償却累計額 | 60 |
期中に購入した場合
期中に購入した場合は、1年分の減価償却費を計算したのち、当期分の減価償却費のみを計上します。
(例)「減価償却費の仕訳(期中購入の固定資産)」
令和3年3月31日、A㈱は令和2年12月1日に取得原価2000円で購入した建物について減価償却を行った。なお、減価償却方法は定額法(耐用年数は30年、残存価額は取得原価の10%)による。A㈱の会計期間は、4月1日~3月31日である。
【計算】
⦅減価償却費⦆=(2000⦅取得原価⦆ー200⦅残存価額⦆)÷30⦅耐用年数⦆=60
⦅当期分の減価償却費⦆=60 × 4/12⦅12月~3月の4か月⦆=20
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 20 | 減価償却累計額 | 20 |
固定資産売却の仕訳
固定資産売却も、期首に売却するのと期中や期末に売却するのとで仕訳が異なります。
期首に売却する場合
期首に売却する場合、取得価額と前期末の減価償却累計額を減少させます。その後、貸方借方の差額を固定資産売却損益で仕訳します。
貸方が少ない ➡ 固定資産売却益
借方が少ない ➡ 固定資産売却損
(例)「固定資産売却の仕訳(固定資産の期首売却)」
令和3年4月1日、A㈱は備品(取得原価400円、減価償却累計額180円)を250円で売却し、代金は月末に受け取ることにした。A㈱の会計期間は、4月1日~3月31日である。
貸方が少ないので、固定資産売却益。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却累計額 | 180 | 備品 | 400 |
未収入金 | 250 | 固定資産売却益 | 30 |
上の例で、売却額が200円だったとき
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却累計額 | 180 | 備品 | 400 |
未収入金 | 200 | ||
固定資産売却損 | 20 |
期中、期末に売却する場合
期中や期末に売却する場合は、その期に固定資産を利用した分減価償却費を計上しなければいけません。
(例)「固定資産売却の仕訳(固定資産の期中、期末売却)」
令和3年1月31日、A㈱はトラック(取得原価900円、期首の減価償却累計額540円、残存価額0円、耐用年数5年)を200円で売却し、代金は月末に受け取ることにした。A㈱の会計期間は、4月1日~3月31日である。
【計算】
⦅減価償却費⦆
=(900⦅取得原価⦆ー0⦅残存価額⦆)÷5⦅耐用年数⦆×10/12⦅4月~1月の10ヶ月⦆=150
借方が少ないので、固定資産売却損。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却累計額 | 540 | 車両運搬具 | 900 |
未収入金 | 200 | ||
減価償却費 | 150 | ||
固定資産売却損 | 10 |
まとめ
【減価償却費の仕訳】
期首購入の固定資産 ➡ 1年分の減価償却
期中購入の固定資産 ➡ 月割りの減価償却
【固定資産の売却の仕訳】
期首に売却 ➡ 前期末までの減価償却累計額の減少
期中、期末に売却 ➡ 前期末までの減価償却累計額の減少
+当期分の月割りの減価償却費の計上