日商簿記

【日商簿記3級】前払金・仮払金、前受金・仮受金とは?様々な債権債務の仕訳を解説!

債権債務の仕訳 前払金/仮払金/前受金/仮受金

様々な債権や債務の仕訳が分かる!

重要用語

内金・・・商品代金の一部の前払いのこと。手付金ともいう。

勘定科目

【資産】
未収入金・・・商品以外のものを売ったときの未収額
前払金・・・内金を払って、あとで商品を受け取る権利
仮払金・・・出張費などの概算費を前渡しするためのお金
立替金・・・先方負担の仕入諸掛りを立て替える時のお金
従業員立替金・・・従業員が支払うべきお金の立替(単に立替金で処理することもある)
差入保証金・・・店舗を借りる時などの敷金や保証金のこと。あとで帰ってくるから資産

【負債】
未払金・・・商品以外のものを買った時の未払額
前受金・・・内金を受け取って、あとで商品を渡す義務
仮受金・・・不明な入金があった際に、とりあえずで処理するためのお金
預り金・・・従業員預り金や所得税預り金、社会保険料預り金など、あとで返したり納めたりしないといけないお金

商品以外のものの売買の仕訳

 商品の売買において、代金を掛けで支払う場合売掛金や買掛金で処理しました。

しかし、商品以外のもの(建物や備品など)を購入した時は未払額を「未払金」といいます。

同様に、商品以外のものを売却した時は未収額を「未収入金」といいます。

 買掛金と未払金、売掛金と未収入金を以下にまとめます。

買掛金と未払金の違い
買ったもの文末の言葉勘定科目
商品~を仕入れた買掛金
商品以外(建物や備品など)~を購入した未払金
売掛金と未収入金の違い
売ったもの文末の言葉勘定科目
商品~を売り上げた売掛金
商品以外(建物や備品など)~を売却した未収入金

内金の受け渡しのある売買の仕訳

 商品の注文時に、商品代金の一部を支払うことがありますが、このときの代金を内金(手付金)といいます。

商品の購入時、内金を支払うことで商品を受け取ることができる権利を前払金(資産)といいます。

同様に、商品の売り上げ時、内金を受け取ることで商品を渡さなければいけない義務を前受金(負債)といいます。

 それでは、内金の受け渡しのある売買の仕訳例を見ていきましょう。

(例)「注文時に内金を支払い商品を仕入れる処理」

Step1:A㈱は、B㈱に商品100円を注文し、内金として20円を現金で支払った。(前払金の増加)

Step2:その後、A㈱は商品100円を受け取り、代金のうち20円は注文時に支払った内金と相殺し、残額は掛けとした。

借方金額貸方金額
前払金20現金20
Step1
借方金額貸方金額
仕入100前払金20
買掛金80
Step2

(例)「注文を受けた際内金を受け取り商品を売り上げる処理」

Step1:A㈱は、B㈱から商品100円の注文を受け、内金として20円を現金で受け取った。(前受金の増加)

Step2:その後、A㈱は商品100円を渡し、代金のうち20円は注文時に受け取った内金と相殺し、残額は掛けとした。

借方金額貸方金額
現金20前受金20
Step1
借方金額貸方金額
前受金20売上100
売掛金80
Step2

仮払金と仮受金の仕訳

 従業員の出張時における交通費や宿泊費のために、前もって概算費を渡しておくお金を仮払金(資産)といいます。

このとき、支払いの内容と金額が確定するまでは旅費交通費などの勘定科目で仕訳しません。出張から帰ってきて、使った内容や金額の報告を受けてから仕訳を行います。

 一方、不明な入金が判明した時、その内容が明らかになるまで仮受金(負債)という勘定科目で処理します。

そしてその後、不明な入金の内容が判明したらその内容と仮受金を振り替えます。

 それでは、仮払金と仮受金の仕訳例を見ていきましょう。

(例)「旅費の概算費を前渡しし、その後内容と金額が確定した時の処理」

Step1:A㈱は、従業員に出張費の概算費として100円を現金で前渡しした。

Step2:その後、従業員が出張から戻り、概算費100円のうち、旅費交通費として80円支払った報告を受け、残額20円は現金で受け取った。

借方金額貸方金額
仮払金100現金100
Step1
借方金額貸方金額
旅費交通費80仮払金100
現金20
Step2

仕入(売上)諸掛りと立替金

 「商品売買の基本的な仕訳」で、当社負担の場合の仕入諸掛りと売上諸掛りの仕訳方を学びました。

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 では、仕入諸掛りと売上諸掛りが先方負担の場合、どのような処理になるのでしょうか。

 商品を仕入れたとき、先方負担の仕入諸掛りを当社が立て替えたとき、立替金(後で返ってくるから資産)で処理します。

また、商品を売り上げたとき、先方負担の売上諸掛りを当社が立て替えたときも、立替金(後で返ってくるから資産)で処理します。

以下に具体例を示します。

(例)「先方負担の仕入諸掛りを、当社が立て替えた時の仕訳」 

 A㈱は、B㈱から商品を100円で仕入れ、代金を掛けとした。また、取引運賃(先方負担)10円を現金で支払った。

借方金額貸方金額
仕入100買掛金100
立替金10現金10

(例)「先方負担の売上諸掛りを、当社が立て替えた時の仕訳」

 A㈱は、B㈱に商品を100円で売り上げ、代金は掛けとなった。また、A㈱は取引運賃(先方負担)10円を現金で支払った。

借方金額貸方金額
売掛金100売上100
立替金10現金10

従業員立替金の仕訳

 従業員の支払うべきお金を、会社が立て替えて支払う時のお金を従業員立替金といいます。

 さっそく例を見ていきましょう。

(例)「従業員が支払うべきお金を立て替えたときの仕訳」

Step1:A㈱は、従業員が支払うべき生命保険料40円を、現金で立て替えた。

Step2:A㈱は、従業員に支払う給料500円のうち、先に立て替えた40円を差し引いた金額を支払った。

借方金額貸方金額
従業員立替金40現金40
Step1
借方金額貸方金額
給料500従業員立替金40
現金460
Step2

まとめ

様々な債権債務の仕訳

【買掛金と未払金の違い】
買掛金・・・商品の仕入れ
未払金・・・商品以外の購入

【売掛金と未収入金の違い】
売掛金・・・商品の売り上げ
未収入金・・・商品以外の売却

【内金の受け渡しで発生する処理】
前払金(資産)・・・内金支払い時
前受金(負債)・・・内金受け取り時

【仮払金と仮受金の処理】
仮払金(資産)・・・概算費を前もって渡すとき
仮受金(負債)・・・不明な入金があったとき

【立替金の仕訳】
立替金・・・先方負担の仕入諸掛りと売上諸掛りを当社が立て替える時
従業員立替金・・・従業員が支払うべきお金を会社が立て替えるとき