SIer

【体験談】SIerでは技術スキルが身につかないは本当?|現役SEが思うSIerで働くメリットとデメリット

SIerで身につくスキルと働くメリット・デメリット

銀行の勘定系システムやクレジットカードの決済システムなど、私たちの周りには見えないところで様々なシステムが動いています。そんな様々なシステムを開発したり、運用保守したりしているのがSIerです。

そんなSIerですが、巷では

  • 何をしているのか分かりにくい
  • 技術的なスキルは身につかないのではないか
  • 長時間労働でブラックなイメージがある

など、ネガティブなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、クレジットカード会社向けに決済システムを提供しているSIerで勤務する現役SEの私が、「SIerのSEは実際何をしているのか」「SIerではどんなスキルが身につくのか」などリアルな実情をお話したいと思います。

SIerとは何をしているのか

一次請けのSIerで身につくスキル

SIerで働くメリット・デメリット

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私の中でのSEとは

SIerのお話をする前に、システムエンジニア、通称SEとは何か、私の中での認識を説明したいと思います。

定義は様々かと思いますが、私の中では

  • SE
  • プログラマ

は違うものと捉えています。

プログラマは分かりやすいかと思いますが、実際のシステムのコーディングをする人と捉えてよいと思います。設計書をもとに、ゴリゴリコーディングをする人たちのことです。

一方のSEは、プログラミング以外の部分、つまり、要件定義・設計・テストなどを行う人と私は捉えています。
※上記は、実際は組織によって様々です。プログラマがテストを行うこともあります。

後述もしますが、一次請けのSIerであるほど、プログラミングは二次請け、三次請けに任せます。ですので、大手一次請けのSIerでは、プログラマ職としての採用ではなく、SE職としての採用が主になるのです。

私の中でのSEとプログラマの違い

SEとプログラマは、システム開発プロセスにおける役割が違う。

プログラマは、システムのプログラミング(コーディング)をする人たち

SEは、プログラミング以外の、システムの要件定義・設計・テストなどをする人たち

SIerとは

前置きとして、私の中でのSIerで働くSEとプログラマの違いを説明しました。
ここからは、そんなSEやプログラマが所属するSIerとは何をする会社なのか、説明していきます。

SIerはシステムを作る会社のこと

SIerは、一言でいうと色々なシステムを作っている会社です。

では、どんなシステムを作っているのか。例えば、クレジットカード決済のシステムです。下図のように、

  1. 店舗で買い物をした際にクレジットカードを読み取る
  2. そのクレジットカードが有効なものかチェックする(オーソリと呼びます)
  3. 店舗の売り上げ情報を銀行に渡し、引き落としてもらう

といったようなシステムが、一般的な決済システムです。

SIerで身につくスキル_クレジットカードシステム
図1

日本では、上記のようなクレジットカード決済システムに関わらず、多くの大規模システムは他社に外注することがほとんどです。

それを請け負って開発するのが、SIerという会社です。

業務内容は何次請けかによる

SIerがシステムを作る会社というのことは分かったけど、実際業務では何をしてるんだ??

と思われる方が多いのではないでしょうか。

結論、業務内容はSIerの中でも何次請けなのか、に依ります。

どういうことか詳しく説明します。

SIer業界というのは、下図のように多重請け構造となっています。

SIerで身につくスキル_SIerの多重構造
図2

この構造と、以下のシステム開発プロセスを照らし合わせます。

企画 → 要件定義 → 設計 → プログラミング → テスト

図2での一次請けの会社が担うのは、企画・要件定義・設計・(一部テスト)がほとんどです。

一方、一次請けのグループ会社や下請けなどの二次請け、三次請けが担うのは、プログラミング・テストの工程になります。

このように、SIer業界というのは、何次請けかによってシステム開発運用保守における業務を分担しているという業界になります。

ということは、何次請けの会社に勤めるかによっても身につくスキルは変わってきます。

いわゆる「手を動かせるIT技術」を持っているのは、プログラミングを担当する二次請け、三次請けになります。

では、一次請けのSIerではどんなスキルが身につくのでしょうか。

一次請けのSIerで身につくスキル

ここからは、実際に一次請けに位置するSIerで勤務する私が感じる、身につくと思うスキルを紹介します。

初めに断っておきますと、技術的なITスキルは身につきにくいです。

ゴリゴリIT技術を身に着けたいんだ、という方はベンチャー系やWEB系への就職・転職をおすすめします。

では、一次請けSIerで身につくと感じるスキルを説明していきます。

コミュニケーションスキル

一次請けというからには、お客様と会話する機会がとても多いです。そして、そのお客様はSIerの社員ほどITに詳しくありません。

そんなお客様に、

  • どうやったらお客様の希望を実現できるのか
  • 現システムの何が問題なのか
  • 障害が起きた際は、どう解決していくのか

などといったことを、簡潔に分かりやすく説明する必要があります。

そのような意味で、相手に分かりやすく伝える、相手の要望をくみ取るといったコミュニケーションスキルは大いに身につくと思います。

マネジメントスキル

一次請けというからには、二次請け、三次請けに動いてもらい案件を前に進めなければなりません。

そのように関係者に動いてもらいながら、

  • お客様の予算内で
  • 納期までに
  • お客様希望の品質を担保した

システムを提供しなければなりません。

ステークホルダーが多い中、上記を満たさなければならないので、相応のマネジメントスキルが必要となります。

IT知識 ※プログラミングスキルではない

上述しましたが、ゴリゴリなIT技術、例えばプログラミングスキルなどは一次請けでは身につきません。

とはいえ、ITに関わる知識は身につきます。(IT会社ではありますので)

一次請けは、お客様のビジネス課題をどのようにITの力で実現するか、を考えることが重要です。

そのためには、企画・要件定義・設計をする中で、もちろんIT知識が必要になります。

昨今では、ユーザー側の企業もIT教育に積極的ですが、とはいえSIerの方がITに接する機会が多いです。

そんなITの専門家だからこそ、IT知識が身につきやすいというのもSIerで働く魅力の一つではあると思います。

SIerで働くメリットとデメリット

上記で一次請けのSIerで身につくスキルを紹介しましたが、SIerで働くうえで

  • さらにどんなメリットがあるのか
  • デメリットは何か

について説明していきます。

SIerで働くメリット

公共系や金融系など、社会への影響度が大きいプロジェクトに携われる

安定企業で福利厚生が整っている企業が多い

SIerは、大手グループの会社であることが多いです。メーカー系であれば日立系や富士通系、ユーザー系であればNTTデータ系や伊藤忠テクノソリューションズ系、外資系であればIBM系、独立系であればTIS系や日本ユニシス系など、名だたる会社の系列が多く存在します。

上記のような大手企業は、公共系や金融系、産業系などのシステムに関わっているため、社会への影響度が大きいプロジェクトに携わることができます。

例えば、公共系であれば国や自治体のシステムであったり、金融系であれば銀行やクレジットカード、保険のシステムであったり、産業系であれば電力会社やメーカーのシステムであったりのシステムに関わることができます。

また、上記のような大手SIer企業は、中小企業やベンチャー企業に比べて福利厚生が整っている企業が多いです。

「IT関係の仕事がしたい。でも、ベンチャーなどよりも安定した会社で働きたい。」

そう思う方には、大きい会社系列の多いSIerはおすすめかもしれせん。

SIerで働くデメリット

実装スキルは身につきにくい

SIer、特に一次請けのSIerで働く決定的なデメリットは、実装スキルが身につかないことです。

まず、「実装」とは何か簡単に説明します。

「実装」とは、何かシステムの部品や機能を作って、実際にシステムに組み込むこと

プログラミングをしたり、実際のシステムを手で触る業務をしたりする会社であれば、上記の実装スキルが身につきます。

しかし、企画・要件定義・設計が主なSIerでは、システムを手で触る機会はほぼありません。

そのため、システムを形にしたり、設計をシステムに落とし込んだりというスキルは身につかないのです。

再三言いますが、

「自分でシステムを形にしたい」「プログラミングがしたい」

という方は、ベンチャー企業やWEB系の企業、SIerの中でも上記を経験できる会社や部署を選択するといいでしょう。

まとめ

今回の記事では、SIer、特に一次請けのSIerで身につくスキルや、SIerで働くメリットとデメリットを紹介しました。

ひとえにSIerと言っても、業務内容や身につくスキルは何次請けかに依ります。

自分の身に着けたいスキル、希望する待遇を鑑みて、本当に自分に合った環境で働くことが大事ですね。